大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)462 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人小林哲郎の上告理由一、二について。

原審は、判示諸般の事実関係のもとにおいては、本件売買契約書第三項の「明渡

不履行の場合」とは、被上告人の責に帰すべき事由によつて本件土地の引渡を遅滞

した場合に限るとする約旨であつたものと解釈したうえ、被上告人が本件土地の引

渡を遅滞したのは同人の責に帰すべき事由によるものではないから、本件損害金請

求権は肯認しえないと判断したのであり、前示解釈は、民法四二〇条一項所定の賠

償額の予定ある場合、一般に債務者は履行遅滞がその責に帰すべからざる事由を挙

証しても責任を免かれることができないと解すべきか否かを問うまでもなく、正当

としてこれを是認できる。原判決には論旨一、二にいうような違法はない。論旨は

採用できない。

同三について。

原審が認定した事実関係のもとにおいて、被上告人が約定の引渡期限を徒過した

ことはいまだ右「明渡不履行の場合」にあたらないとした原審の判断は是認すべき

であつて、論旨は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官横田正俊の意見ある外裁

判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

上告代理人小林哲郎の上告理由一、に対する裁判官横田正俊の意見は、次のとお

りである。

債務の不履行につき損害賠償の額が予定せられたときは、債権者は、損害の発生

及びその額を証明することなくして約定の損害額を請求しうるが、右請求も債務不

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履行による損害賠償の請求にほかならないことを考えれば、債権者がその請求をす

るには、民法四一九条二項後段のごとき特別の規定がある場合又はこれと同趣旨の

別段の約定がある場合でないかぎり、一般の原則にしたがい、債務者に履行遅滞の

責あることを要する(債務者は不履行が自己の責に帰すべからざる事由によること

を証明してその責を免れることができる)ものと解するのが相当である。しからば、

民法四二〇条の解釈につき右と見解を異にする論旨は肯認しえないところであり、

しかも、本件につき原審が確定したところによれば、上告人主張の損害金の約定に

おいて「明渡不履行の場合」とは、約定の期限が過ぎれば当然に不履行に当るとい

う趣旨ではなく、被上告人の責に帰すべき事由によつて本件土地の引渡を遅延した

場合を意味するものであるというのであるから、所論の理由のないことは明らかで

ある。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

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